スペシャルインタビューinterview

【FC東京】“J1チームが実践”高周波×徒手施術の選手に合わせた細やかなケア

左から青木 直文トレーナー、三枝 正人アスレティックトレーナー、香城 洋平トレーナー、小澤 佑介アスレティックトレーナー、宮間フィジオセラピスト左から青木 直文トレーナー、三枝 正人アスレティックトレーナー、香城 洋平トレーナー、小澤 佑介アスレティックトレーナー、宮間 幸久フィジオセラピスト
Jリーグのカップ戦で、3度もの優勝経験があるFC東京。そんなFC東京は、選手の体のケアに、WINBACKシリーズのハイエンドモデルであるBACK4 AXを取り入れてくださっています。

機能を使いこなし多角的なアプローチを実施されているFC東京のトレーナー陣。WINBACK導入の経緯や現場でのリアルな活用方法、さらには選手からの反応まで、FC東京の青木トレーナーと宮間フィジオセラピストにインタビューさせていただきました。


WINBACK導入の経緯

青木トレーナー青木トレーナー

青木トレーナー:
導入を検討している段階で、お世話になっている方々から「すごくいいものだよ」と勧められました。信頼している方々から勧められたので間違いない機械だと思い、使用させていただいたんです。

これまで、イタリアやスペインのものから日本のものまで、あらゆる機械を使わせてもらった中で、WINBACKはさまざまな機能がある印象でした。

以前から愛用している選手は、WINBACKがコンディショニングにとても役立っているようでしたし、他の選手たちの感触も良かったので導入にいたりました。

トレーナーとしては、ブレスレット・エレクトロードをつけると自分の手で施術ができる点がすごく画期的だと感じ、そこが決め手になりましたね。


WINBACKの最大の魅力

ブレスレット・エレクトロードについて話す青木トレーナーと宮間フィジオセラピストーブレスレット・エレクトロードについて話す青木トレーナーと宮間フィジオセラピスト

青木トレーナー:
自分の手がそのまま機器になるところです。あとは、高周波と電気(EMS)を同時に流しながら筋肉を動かせるなど、さまざまな動作が一気にできるところも気に入っています。

選手たちからも好評で、今日まさに、オリンピックのときにも使っていた選手が「ちょっとこれいいかな」って自分でやっていましたね。

遠征には1Sという小型のWINBACKを持参してケアしていますが、本音を言えば、選手の筋肉を動かしたいのでBACK4 AXを持って行きたいくらいです。大きいのでなかなか難しいんですけどね(笑)。


宮間フィジオセラピスト:
温熱を出しながら、ブレスレット・エレクトロードで筋に触れられるところが最大の魅力ですね。

これまでは、温熱や超音波を当てて筋を温めて可動性を出したあとに、瞬時に徒手に切り替えていたんですが、WINBACKだと同時にできるのでケアしやすくなりました。操作がとても容易かつ狙ったところに筋の動きを出しやすいので、ほしい効果を得やすいんです。

すすめているわけではないので受けた感触がいいんだと思うんですが、筋を動かす必要があるときに、選手から「WINBACKで温めてもらえますか」と言われることもありますよ。


WINBACKの活用方法

BACK4 AXで施術をする青木トレーナーBACK4 AXで施術をする青木トレーナー

青木トレーナー:
私は鍼灸マッサージの資格を持っているので、本来なら鍼を使う“筋肉にアプローチしたい場面”で、ブレスレット・エレクトロードをつけて手の指先で刺激を入れることもあります。

鍼が苦手な選手もいるので、鍼の代わりのような、鍼プラスお灸の効果を取り入れたいときに使いますね。あとは、選手の体を触っていく中で、筋肉の滑走が悪くなっている部分を動かしたいときにも使います。

筋肉全体にアプローチしたいときにとても良いので、鍼は点での部分で、WINBACKは全体でと使い分けています。


宮間フィジオセラピスト:
プレーできていない選手や、もう少しでプレーできる状態の選手のリハビリで、筋自体の柔軟性を出したいときにWINBACKを使っています。

筋肉や組織を動かしたいときや、硬さが残っていてもっと動かさなきゃいけないときの、事前の準備として使う場面が多いですね。温熱の効果だけで言えば他のもので代用できると思います。

ただ、WINBACKは、熱感はマイルドで急に熱くなりにくいにもかかわらず、術者側にも選手側にも、しっかり温まっている感覚があるんです。

自分のハンドリングでポジションを決められる点や、層によってかける波長をこちら側で常に操作できる点も好きで、かなり重宝させてもらっています。結果的に、リハビリ場面で頻繁に使用することになっていますね。


怪我の治療へのアプローチ

宮間フィジオセラピスト宮間フィジオセラピスト

青木トレーナー:
筋肉だけでなく、腱鞘炎やアキレス腱、骨筋部分など、腱の炎症を抑える効果もしっかり感じていて、肉離れや筋膜炎などの痛みが軽減している様子もありますね。

選手は本当にギリギリのところで戦っているので、練習ではもちろん、試合が始まる直前まで使っています。


宮間フィジオセラピスト:
リハビリの場面では、ブレスレット・エレクトロードをよく使っています。温熱しながら徒手で筋肉自体に触れられるので、術者側と選手側からと多角的に見ても、その後の可動性がよくなっている感覚があります。

WINBACKは、温熱をかけずに、EMS(中周波)やTENS(低周波)で筋収縮を促すこともできますよね。

足首の捻挫の後の急性期など、温熱すべきではない状況で筋収縮だけさせるような使い方もできると思います。ただ、筋収縮を促していい時は、筋温を上げて余計に動かした方がいい場合が多いので、現状はほぼ温熱を入れた状態で使用しています。

使い方の幅はもっと広げられそうですね。


怪我の予防としてのWINBACK

ウォーミングアップの様子ウォーミングアップの様子

青木トレーナー:
試合直前のウォーミングアップとして必ずやる選手もいます。肉離れを起こしそうな選手や筋肉が固まってきている選手も、使用することで、触ったときの感触が良くなっていることを実感します。

怪我をしていない選手だとしても、皆ギリギリの状態で戦っているので、WINBACKに力を貸してもらっている部分はあります。

選手たちから「動きやすくなる」「今日もWINBACKやってくれないかな」とオーダーされるので、なくてはならない機器になっていますね。


宮間フィジオセラピスト:
怪我の予防と、怪我をしたあとに筋肉を動かしていくこと、どちらのケアも根本はあまり変わらないのかなと思っています。

結局、筋肉のトラブルを防ぐために事前に温めたり電気(EMS)を入れながら動かしたりすることと、リハビリ中に動かす前にWINBACKを使うことはほとんど同意ですよね。

ただ、今年はキャンプ中にセッションが重なって、選手たちに疲労感が出てきたり筋肉の張り感がかなり強く感じられたりして、予防の意味で使っていた場面が多くありましたね。


お2人が考えるFC東京の強さの秘訣

FC東京の練習風景FC東京の練習風景

青木トレーナー:
僕は4年目なんですが、初めて見たとき、とても真面目なチームだなという印象でした。今も、それがFC東京の1番いいところだと感じています。

この4年間で、コーチングスタッフも変わっているんですが、来る監督コーチが口を揃えて「手を抜かない、練習から100%やるチームだ」と言います。

サボっているとすぐにわかってしまうチームとも言えますが、そんな選手はいなくて、練習でも試合でも一生懸命やるのがFC東京の特徴です。


宮間フィジオセラピスト:
元々FC東京出身の選手と他のチームで関わっていたときから、体への関心が非常に強く、ケアやトレーニングに重点を置いている選手が多いと感じていました。

実際にチームの中に入らせてもらって2年目ですが、やはりそういう選手が多いですね。 こちらからあれこれやった方がいいよという前から、自分でどういうものを取り入れた方がいいのかを考えている選手が多いと思っています。


選手の体のケア方法で意識していること

BACK4 AXと青木トレーナーと宮間フィジオセラピストBACK4 AXと青木トレーナーと宮間フィジオセラピスト

青木トレーナー:
まずは選手の要望を把握して、一方的なケアや治療にならないように気をつけています。

あとは、メンタル面も含めて、1年間通してどれだけ積み上げができるかを意識し、パフォーマンスが上がる方法を常に考えていますね。それが最終的な目標である「勝つこと」につながるので、逆算してやっています。


宮間フィジオセラピスト:
精神面は、パフォーマンスに非常に関わってきますので、選手のメンタル状況に配慮した提案を意識しています。一方で、体の状態に関しては、理学療法士として、可能な限り客観的に見る必要があります。

スポーツの現場では、総合的な印象で「良い」と判断されることが多いですが、「プレーできている=問題ない」とは限りません。その動きがどうパフォーマンスにつながるかという視点は大切にしていますし、再現性を高めるためにも、“客観的評価の視点を持つこと”をスタートの時から意識しています。


今回取材させていただいた方のプロフィール

■ 青木 直文(あおき なおふみ)トレーナー
鍼灸師の資格を取得し、湘南ベルマーレ→横浜フリューゲルス(現横浜F・マリノス)→モンテディオ山形→京都サンガ→名古屋グランパスを経て、現在FC東京4年目。

■ 宮間 幸久(みやま ゆきひさ)フィジオセラピスト
理学療法士として、東京大学医学部附属病院に勤務し、その後清水エスパルス→大宮アルディージャを経て、現在FC東京2年目。


この記事を書いた人

川口 玲菜(かわぐち れな)美容ライター

美容の仕事に10年以上従事したのち、ライターに転身。 5,000名以上の接客経験と100名以上の教育経験を活かし、対談構成や取材を手掛け、話者の言語化をサポート。 思いを誠実に汲み取り、読者に伝わる文章を届けるライター。
一覧を見る