スペシャルインタビューinterview

【エスペランサSC・第2回】アルゼンチン医師が語る、選手をケガから最短で復帰させる方法とは?オルテガ パブロ・セバスティアン氏

—【第1回】オルテガ監督の記事はこちら
「大切なことは希望を持ち夢に挑戦すること」元アルゼンチン代表が日本人に伝えたい想い—

神奈川県横浜市栄区にある育成型サッカークラブ「エスペランサSC」。TOPチームは社会人の関東1部に所属し、ジュニアチームも合わせると約300人がチームに在籍する地域に根差したクラブチームだ。
今回お話を伺ったパブロ氏は、サッカー元アルゼンチン代表のオルテガ氏を父に持ち、ご自身はクラブの選手としてではなくアルゼンチンの医師免許を取得し、チームのトレーナーも兼任する異色の「二刀流」。
今回は、医師として、またチームに帯同するトレーナーとしての視点で、選手のパフォーマンスを最大に発揮するための日々の取り組みや、選手が怪我をした際の施術で気を付けていることなどを語っていただきました。

異色のキャリア。プロの夢を諦め、医師の道を志す

- 今日はよろしくお願いします。早速ですが、パブロさんが日本に来日されたのはいつ頃ですか?

2018年に来日して、そこからはエスペランサSCのチームトレーナーとして活動しています。それまではアルゼンチンで医師免許を取得して、約8年間医療関連の仕事に従事していました。今も日本の企業の社外取締役として医療の現場には携わっています。

- お医者さんだったんですね!お父さんのオルテガ氏がプロサッカー選手でしたが、パブロさんもサッカー選手になろうとは思わなかったのですか?

実は、もともと父親の影響でサッカーを初め、プロ選手としての道を目指していました。当時はサッカー一筋で、海外からのオファーも複数もらっていたくらいサッカー中心の生活でした。

- 海外のオファーがあるくらいなので、選手としても注目されてたみたいですね!そこから医療の道を目指されたきっかけは何だったんですか?

18歳の時に選手生命に関わる怪我が連続してしまったことです。
前十字靭帯の損傷や、恥骨炎症が2回立て続けに発症。特に2回目に関しては歩けないほどの状態で、怪我が理由でプロの道を諦めざるを得ませんでした。
実力の問題ではなく、怪我が理由で目標としていたプロサッカー選手の道を断念することは、本当につらい思いでしたね。
プロサッカー選手としての道が閉ざされてから将来について考えた時に、私と同じようにケガで自分の夢をあきらめる人を少しでも減らしたいという思いから、医療の道を目指すようになりました。

- サッカー中心の人生から、急に医療の道を歩まれるのは大変だったのではないですか?

そうですね、これまでサッカーばかりをやってきていたので、全く未知の挑戦となりました。
ただ、父の教えでもある、やればできるという言葉を胸に、ひたすら目標に向かって勉強をしましたね。その結果、大学でも上位の成績を取ることができ、医師免許を取得することができました。やればできる、ということを改めて感じることが出来た経験です。

医者になってからは、再生医療技術に興味を持ち、ラテンアメリカの再生医療学会を立ち上げました。自分が医者の立場になって過去を振り返ったときに、私が怪我をした当時、もっと再生医療の技術が進んでいればプロの道を諦めずに済んだのでは?と思うようになりました。なので、さらに技術を進歩させるために学会を立ち上げたのですが、やはり選手が怪我による挫折を味わってほしくないという思いが原動力になりましたね。

選手が怪我をした時に、いかに早く復帰まで導けるかがトレーナーとしての使命

- 今はエスペランサSCのトレーナーとして活動されていらっしゃいますが、使用されている高周波機器WINBACKを導入されたきっかけは何だったのですか?

元々アルゼンチンで高周波の機器が普及していて、高周波ケアに関する論文も多く発表されています。高周波に関する認知は日本よりも広まっている印象ですね。
なので、エスペランサSCで選手のケアをする際には、高周波機を導入しようと考えていました。日本に来て機器を検討しているときにWINBACKと出会いました。

私が一番惹かれたのが、WINBACKではハンドブレスを使って施術ができることです。これが私のケアのイメージとぴったり合致しました。
私が選手のケアで大事にしていることは、自分の手で、”患部の筋肉がどのように変化しているか”、”しっかりと狙いたい部位が反応しているか”などを確認しながら施術をすることです。これまでの機器だと金属部分を施術部位に当て、直接触ることが出来ないものしかありませんでした。
WINBACKの場合、腕にブレスをつけることが出来るので、自分の手で選手の状態を確認しながら高周波施術を行うことができ、普段のケアの効率が格段に上がったと感じています。

国内で特許を取得しているハンドブレス

- 実際にWINBACKを活用される前と比べて、選手のコンディショニングも変わりましたか?

体感だけでなく、結果としてもかなり効果を感じています。
サッカーというスポーツの特性上、足首やひざ、太ももなどをよく怪我するのですが、WINBACKをあててから、選手がプレーに復帰するまでのスピードが格段に上がりましたね。
また、オフの時期はフィジカルトレーニングがメインになり、どうしても体のバランスが崩れ腰を痛める選手が多いです。
最近だと、チームにヘルニアを持っている選手がいるのですが、ぎっくり腰になってしまいました。彼は去年も腰を痛めていて、プレーできない状況が続いていました。その時は、選手自身で整骨院に通い治療を行っていたのですが、復帰まで約1か月半近くかかりましたね。
今回の腰の痛みも昨年と同じくらいの痛みだったようですが、WINBACKを毎日使用してケアを行った結果、1週間でピッチを走れるようになり、2週間後には完全にプレーに復帰できている状態にまで回復しました。

- 復帰までの期間が約1/3に短縮されたのは驚きですね!怪我のケア以外にもWINBACKを活用されている方法などはありますか?

怪我が出てからではなく、予防にも活用しています。練習中に選手の体に少しでも違和感が出始めたらすぐにWINBACKを使用するようにしています。
この違和感を放置していくと、症状が発症しそうな箇所だけでなく、意識してしまうことで全身のバランスが崩れ、他の部位の大きな怪我につながる可能性があります。そのため、選手が常に万全な状態でプレーできるよう、大きな怪我を出さないためにも未然に防ぐために活用をしていますね。

- 施術に関しても強い想いがあるのですね。パブロさん自身の今後の目標などはありますか?

私個人の目標としては、今以上にケアの質を上げていきたいと思い、日本での医師免許を取得するために今準備をしています。また、エスペランサSCとしては、4月からは新シーズンが始まります。次シーズンもJFL昇格に向けた挑戦のためハードなプレーが続くと思いますが、今以上に選手のケアをしっかり行い、万全な状態で試合に臨めるよう準備ができればと思っています。


前回のインタビューさせていただいた、パブロ氏の父でクラブオーナーでもあるオルテガ氏の教えをまさに体現されているという印象を受けました。
また、医者視点でのアスリートケアの方法と、高周波を活用した施術方法など、ご自身の経験からくる「ケガで自分の夢をあきらめる人を少しでも減らしたい」という強い想いを感じましたので、今後のエスペランサSCの活躍にも期待しています!

オルテガ パブロ・セバスティアン氏

1983年生まれ、アルゼンチン出身。
アルゼンチン共和国医師登録 / ラテンアメリカ再生医療学会副院長 / MRT株式会社 社外取締役

怪我でプロの道を断念した後、医師に転向。アルゼンチン国内で研修期間を含め約8年間医療機関に従事。医療現場での活動と兼任し、数々のサッカーチームのトレーナーとしても活動。2018年より来日し、エスペランサSCのトレーナーとしてチームのコンディションを支える。

2010年3月 アルゼンチン共和国医師登録
2010年6月 イグナシオピロバノ病院入職
2016年1月 医療法人サナトリウムサンマルティン入職
2018年12月エスペランサSC アスレチックトレーナー
2019年8月 ラテンアメリカ再生医療学会副会長
(一部抜粋)

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