特集column

脳梗塞(脳出血)の保険適用6ヵ月の壁に挑戦する「自費リハビリ」について

みなさんは、「自費リハビリ」というサービスを聞いたことがあるでしょうか。

「リハビリ=保険が効く」というイメージが強いですが、自費サービスとしてリハビリテーションを提供している医療機関や民間施設、そしてそのサービスを利用する方が急増しています。

一体なぜでしょうか?

200万人を超えるといわれる「リハビリ難民」

保険適用はありがたいことに多くの人が利用できますが、実はいくつかの「制約」があります。
たとえばリハビリを受けられる回数には限りがあり、たとえまだ必要だとしても特定の期間を過ぎると受けることができなくなります。

特に脳梗塞や脳出血といった脳の病気は後遺症が残存しやすいため、継続的にリハビリを行っていく必要があります。しかし、発症から月日が経つと、質の高いリハビリが受けられなかったり、若年の方だとそもそも保険内リハビリが受けられないケースも。

こういった、必要としているのにリハビリが受けられない方は「リハビリ難民」と呼ばれています。
このような状況下で「自費リハビリ」という新たなサービスが誕生しました。今回は、脳梗塞や脳出血といった脳の病気からみる「自費リハビリ」について、理学療法士が解説していきます。

脳の病気(脳卒中)に自費リハビリが重要視されているのはなぜ?

脳卒中とは、突然生じた脳の血管の血流障害によって、急に手足が痺れたり動かすことが出来なくなったり、言葉が話せなくなるといった様々な障害を引き起こす病気です。
主に、以下の3つに分類されます。

  • 脳梗塞(脳の血管が詰まる)
  • 脳出血(血管が裂けて出血を起こす)
  • くも膜下出血(動脈瘤が破れる)

介護が必要になる可能性も高い「脳卒中」

【図1】のグラフより。介護度が高くなっていくと、脳血管障害の割合が大きくなります。脳血管障害の多くは、麻痺や歩行困難などといった後遺症が残存しやすいため、リハビリテーション分野の関わりが必須になってきます。

【図1】出典:金沢脳神経外科病院

発症後の段階に応じたリハビリテーション

以前は、脳梗塞発症直後からすぐに体を動かすとさらに症状が増悪すると言われていましたが、現在の治療ガイドラインでは、発症直後からの早期のリハビリテーションにより、回復の見込みが高まるとされています。

脳梗塞を発症した後のリハビリテーションは大きく分けて、「急性期」「回復期」「生活期(維持期)」の3段階あり、それぞれに適したリハビリテーションを行う必要があります。

【図2】出典:リガクラボ

(1)急性期のリハビリテーション

急性期では安静を必要としつつも、過度な安静は「廃用症候群」を招いてしまうため、早期からのリハビリテーションを実施します。リスク管理を徹底した上で、早期離床を目的としたアプローチが必要な時期です。

(2)回復期のリハビリテーション

急性期終了後に退院するケースもありますが、リハビリの継続が必要とされる場合は、専門の病棟へ転院となります。回復期は、「在宅復帰を目指していく期間」として位置付けをされ、身体機能だけではなく日常生活動作にも着目したリハビリを実施します。

(3)生活期(維持期)のリハビリテーション

リハビリで獲得した機能や日常生活動作の能力の維持を目的に行われる段階で、主に在宅や施設での生活が継続されている時期です。寝たきりや引きこもりなど活動性の低下を予防し、社会活動への参加も含めて具体的で総合的なアプローチを時間をかけて行っていきます。

保険適用リハビリの「6か月の壁」

主に「急性期」「回復期」では、医療保険適用のリハビリが実施され、病院で行います。医療保険適用のリハビリは、実施できる期間や時間数(単位数)が決まっています
脳血管障害であれば、実施できる期間として、発症・診断を受けた日から基本的に150日、重篤な場合は180日と定められています。
基本的に医師の指示・判断のもと、期限内の中で入院やリハビリ期間を決め、退院そして生活期へ移行させていきます。

「生活期(維持期)」では、病院から退院して自宅や施設でリハビリテーションを行います。主に介護保険が適用となります。
サービスとしては2種類あり、老人保健施設や病院・クリニックなどに併設された施設に通う「通所リハビリテーション」と、療法士が自宅へ訪問する「訪問リハビリテーション」に分けられます。
医療保険適用のリハビリテーションと違い、長期的にサービスを受けることが出来るメリットはありますが、このサービスを利用するには、介護保険を申請・取得し、要介護または要支援の認定を受ける必要があります。

ここで2つの保険内リハビリに共通するメリットは、保険適用のため利用料金が安くなる点です。しかしその反面、リハビリの回数・時間に「制限」が生じてしまいます。
医療保険でのリハビリは、日数の制限があります。介護保険でのリハビリは、介護区分の認定の度合いによって、受けられるサービスに違いが生じ、療法士による個別リハビリの時間が短時間であることが多いです。

特に脳卒中発症から6ヶ月以上経過すると、それ以上の身体機能の回復は見込みづらいと一般的に言われており、介護保険下でのリハビリの目的は、身体機能の改善というより、生活機能の維持・向上または生活の質(QOL)向上と定義されています。

こういった「制限」と「目的」の影響により、全ての方に良質かつ満足のいくリハビリテーションの提供は難しいでしょう。

そこで、期限や診断に左右されない保険内リハビリに代わる選択肢として、「自費リハビリ」のサービスを提供する医療機関やリハビリ施設が増えてきています

リハビリ難民の救世主、自費リハビリの可能性│注意点はある?

「自費リハビリ」とは、医療保険や介護保険といった公的な保険制度を利用せず、費用は全て自己負担となるリハビリサービスのことをいいます。

基本的に、医療保険のリハビリと介護保険のリハビリを同時に受けることは出来ませんが、保険内リハビリと自費リハビリの併用は可能です。
保険内リハビリのような「制限」や時間の縛りがないため、オーダーメイドかつ自由度の高いメニューやプログラムを立案することができ、高度なリハビリテーションの提供が可能です。

「自費リハビリ」を利用する際の注意点は、以下の通りです。

・費用が高額となりやすい

費用は全て自己負担となります。近年増えている脳卒中専門の自費リハビリ施設では、1回1万円以上の費用が必要となることが多いです。目標達成までにどれくらいの回数や期間を要するのか、事前の計画が重要です。

・医療機関と連携がとれていないところもある

保険内リハビリでは、必ず医師の指示に基づいて、療法士がリハビリを提供しますが、自費リハビリでは医師の指示がなく提供が可能です。
保険外サービスとなるため、万が一の事故や合併症などのリスクに対して、保障がないこともあります。

過去に病院でのリハビリ提供実績がある施設または、現在医療機関内や医師と連携をとれている施設では、医師の指示に基づき自費リハビリを提供しているところもありますので、「自費リハビリ」を安心して受けられるかどうかの1つの参考材料にしてみて下さい。

革新的なアプローチ:高周波リハビリ

世界で近年ますます注目が集まっているのが、高周波を利用したリハビリサービスです。

リハビリや接骨院などで使用される物理療法機器の多くは、特定のポイントや部位を「温めるだけ」「電気を当てるだけ」「圧迫をかけるだけ」などといった局所的なアプローチが多いのが現実です。

高周波機器であるWINBACKは、局所的なアプローチも体全体にエネルギーを流すことも両方の活用が可能となり、ストレッチや筋膜リリースなどといった「徒手療法」や「運動療法」にも掛け合わせが出来ることから、リハビリテーション領域と相性がいいのです。

日本国内でも、脳血管障害の方へのWINBACKの実例が少しずつ増えてきています。

・麻痺の影響で手の指が曲がりっぱなしだったが、短時間の施術で伸ばせるようになった
・杖がなくても、安定して速く歩けるようになった
・お風呂の浴槽をまたげるようになった
・段差でよくつまづいていたが、それが少なくなった

一部ですが、このようなお客様の声が上がっています。

理学療法士として嬉しいのは、「身体機能」の良き変化があることはもちろん、「日常生活動作」でのパフォーマンスも向上するということです。

若年で重い病気に見舞われた方や、長期にわたるリハビリが必要な方にとって、「自費リハビリ」は大きな希望を与えてくれます。費用はかかりますが、その価値は、自分自身の未来をより良くするための投資と考えることができます。

WINBACKを使った取り組み・店舗紹介

高周波機器WINBACKを取り入れた自費リハビリサービスを提供している店舗を紹介します。

メディカル整体院 ACTX(アクトス)
公式HP https://medical-seitai-actx.com
店舗Instagram @actx.kumagaya

埼玉県熊谷市の医療法人社団 悠之会 ゆうあい内科・脳神経クリニックに併設している整体院&自費リハビリ施設となっています。同クリニックにも所属している理学療法士の北爪直也先生が、プラスαのリハビリを提供するために、立ち上げました。

整体・リラクゼーションの提供から、WINBACKを使った「脳血管障害」や「神経難病」の方に対する自費リハビリの提供も行っています。骨折後や関節痛などの運動器障害を有する方も利用されています。

【事例紹介・施術の様子】
・脳卒中片麻痺の自費リハビリテーション

・パーキンソン病の自費リハビリテーション

・車椅子が必要なお客様に対する自費リハビリテーション

病気や事故でリハビリが必要になった場合、目的に合わせて「自費リハビリ」という選択肢があることこの記事を通じて知っていただければと思います。
今後も、WINBACKを使った自費リハビリへの取り組みなどを発信していきますので、読者の皆様の参考になれば幸いです。


北爪直也(きたづめなおや) 

・株式会社ACTX(アクトス)代表取締役
・メディカル整体院 ACTX 代表
・医療法人社団 悠之会 ゆうあい内科・脳神経クリニック
リハビリテーション科 管理者/理学療法士

回復期・外来・訪問といったリハビリテーションに従事。兼業という形で、整体事業を開業。WINBACK導入後、整体部門だけではなく、脳血管障害や神経難病といった病気の方への自費リハビリの提供も開始。治療家として、WINBACKの可能性を伝えていく。

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